運気を失ったプロセス その6

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その6

しかし、この商品の現物がマンションのドアなどに
設置された外の様子をうかがう為の「ドアスコープ」
だったとは・・・。

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とある雑誌でその実態を知った時は大笑いしたも
のである。

だが、偶然にもこの事実を知った時は、ちょうど僕
が通販にチャレンジしようと資料を収集し、研究して
いた時の事だったのだ。

だから、こうして20年以上も前の資料を公開できて
いるのである。

この広告も決して一流誌では見ることがなかった。

しかし、二流以下の雑誌では、「これでもか!」という
くらいあちこちの雑誌に掲載がされていた。

そして、広告枠は全てが、5cm×5cmの角雑という
サイズのみで、これより大きいもの、また、これより小
さいものも、一度たりとも見ることがなかった。

ハッキリ言って、この商品は詐欺である。
詐欺以外の何物でもない。

しかし、「詐欺!」と声高に叫ぶには、あまりにもその
被害額は小さすぎる。

事件にするには大げさすぎるし、警察もまず間違い
なく取り合ってはくれないだろう。

また、訴えて出るにしても、面倒この上ないレベルであ
るし、もしものことが起きた場合のリスクは馬鹿馬鹿し
いの一語に尽きる。

泣き寝入りするしかないのである。

そこを見越した商売なのだ。

しかし、こんなインチキな商品であるにも関わらず、こ
の商品の広告は、実に多くのことを教えてくれている。

微妙な金額設定に、言うに及ばずのキャッチコピー群。

これを見て反応しない男性はいないはずである。

加えて冒頭に、「世界の諜報機関も…」などとウソ丸
出しの宣言文句を平然と書く大胆さ。

これらの思わせぶりなコピーや微妙な金額設定が、
見た者の購買意欲を揺さぶり、心に油断を生じさせ、
「この金額なら騙されてもいいか・・・」と、つい購入に
至らせているのだ。

それが証拠に、この商品は実に息の長い商売とし
て成立していた。

最初にもお伝えしたとおり、実際、僕が知るだけでも、
おそらく10年以上は広告を掲載し続けていたと思わ
れる。

加えて、インチキ商品としてテレビで何度も取り上
げられていたにも関わらず、雑誌から姿を消すこと
はなかったのだ。

この事実と広告掲載料との現実を考えれば、この商
品がどれほど人の欲望に訴えかけて、販売数を積み
重ねていたかがわかるだろう。

この商品の広告代は週刊誌、月刊誌においては最
低ランクのものである。

広告料金は3万円から7万円くらいの範囲内だ。

だから、平均すれば1誌あたりの掲載料は4~5万
円といったところではないだろうか。

とはいえ、先程もお伝えしたが、掲載誌の数がハン
パではなかった。

2流、3流の週刊誌はもちろん、国内におけるエロ
雑誌、アダルト雑誌の類にはすべて掲載されていた
といえるくらい目につく広告だったのだ。

日本国内にアダルト系の雑誌がどの程度あるのかは
数えたことがないので、わからないが少なく見積もっ
ても15~20位の雑誌に広告掲載していたと思われる。

すると、その広告料は最低でも・・・、

4万円×15誌×4週=240万円

という計算が成り立つ。

いかがだろうか?

「ドアスコープ」なるものを、実態をひた隠しにして広告
で売り捌くにしても、毎月これだけの広告料を費やして
いたのだ。

しかも、これだけの広告料を投じているにも関わらず、
商品の売値は、たかだか4500円である。

これらの事実から、この業者が決して、「ままごと感覚」
でこの商売に取り組んでいたわけではないことがわか
るはずである。

事業歴と広告料金を検討すると、おそらく我々が考える
以上に儲かっていたというのが事の真相なのだろう。

以上を総合すると、通信販売を手掛けようと考える者に
は、このZメガネの真実は、「これ以上のものはないので
は?」といえるぐらい、貴重なサンプルだと言えるだろう。

続く…。

 

運気を失ったプロセス その5

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その5

通信販売がやり方次第では、大きな成功を収め
ることが出来るビジネスであることは、大筋で理
解いただけたものと思う。

ここまで書いたついでに、当時、僕が最も驚いた
商品の広告記事が手元に残っていたので、最後
にそいつを紹介しようと思う。

それは、もうその当時で既に10年以上は見続け
ていた広告だった。

商品名を「Zメガネ」という。

キャッチコピーは次のとおりである。

・カベやドアの裏側が丸見えです!
・隣室のノゾキ
・他人のプライバシー丸見え
・可愛娘ちゃんを見てごらんウシシ・・・

などである。

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おそらくこれを読んでいる人の中にも、この商品を
良く知る人は多いのではないだろうか。

なにせTVでも度々取り上げられていたほどの商
品なのだから。

一見してインチキな商品であることは、この広告を
見た殆どの方が直感で見抜いているだろう。

しかし、何とも気になる商品ではないか。
だって、買ってみるまで実態がわからないのだから。

僕が中学生当時には、知り合いの中でこの広告を
知らない者はいなかった。

しかし、実際に買ってみる奴も一人もいなかった。

いや、案外こっそりと買って騙されていた奴はけっこう
いたのかもしれないな。

いずれにしても、僕は、「こんな商品は絶対にイン
チキだ」としか思っていなかったし、周りの友人も
皆同じ意見で一致していた。
続く・・・。

運気を失ったプロセス その4

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その4

通信販売で成功する自信は絶対的なものだった。

というのは、昨日書いたグリーンブックの他にも、
「こんなもので商売が成立するのか?」という商
品を自分が通販業に取り組もうと考える以前から
散々見てきたからだ。

例えば、

1.探偵業開業マニュアル
2.男女交際ビジネス開業マニュアル
3.月収500万続出アメリカンドリームビジネス
など・・・。

これらはどれも1万5千円位で、やはりグリーン
ブックと同じく何年にも渡って数誌の広告掲載が
継続されていた商品だった。

内容が内容だっただけに、一流誌でこれらの広告
を見かけた記憶はない。

しかし、特に2の「男女交際ビジネス開業マニュ
アル」に至っては2流、3流の週刊誌、青年誌、
エログロ雑誌とあらゆる媒体で目にする商品だっ
た。

広告掲載の量から考えて、このマニュアルの販売
はかなりの利益を生んだものと思われる。

何しろキャッチコピーは、「女性もお金も思いのま
ま」と言う、男性の欲望と本能に限りなく訴える広
告文が添えられていたのだ。

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商品の中身はというと、男女交際クラブの運営方法が
したためられたものである。

つまり、自分で男女交際ビジネスを運営し、会費を取っ
て儲けた上で、会員応募してきた女性顧客に好きなだ
けアプローチせよとの指南書なのである。

素人にはとても実現出来そうもない話である。

が、資料やノウハウはかなり本格的で実際に実践して
いた人物、或は、関係者でしか作成しようのない内容と
なっていた。

これらの商品は製本などされず、いずれもがA用紙に
ワープロ打ちされた文書にパンチで穴を開け、単に紙
製のバインダーで閉じただけのお粗末な代物だった。

そう、まるで今のインターネットで売られている情報
商材を先取りするかのような商品形態だったのだ。

しかも、このような中身を買ってみないとどんなものな
のか得体も知れない商品が1万5千円という高額な価
格で堂々と売られ、しかも十分に利益を発生させてい
たのだ。

通販ビジネスに目覚める前は、これらの広告を見ても、
「こんなもの売れるわけがないだろう」と思っていた。

だが、竹藪事件のお蔭で僕の人生観や物を見る目は
180度違うものとなってしまっていた。

当時、自分の友人、知人にこれらの商品についての意
見を意識調査の意味も兼ねて訪ねまわったが、唯の一
人も僕のような見識を持った者はおらず、皆一様に「こ
んな物売れるはずがない」と口を揃え断言していた。

しかし、事実はそうではない。今まで書いてきたとおり、
広告掲載料金のことを考えると、儲け続けることが出来
ないとその広告は雑誌媒体から姿を消す。

つまり、存続していると判断できるものについては、
間違いなく大小の差はあるにせよ、人1人が十分潤う
だけの利潤が発生していると見てとれる。

そのビジネスの成否は、雑誌からその姿を消した時に
のみ知ることができるのだ。

ここまで書けば、「呪いのわら人形」が未だに広告か
ら姿を消していないことが、何故なのかが分かっても
らえることだろう。
続く…。

運気を失ったプロセス その3

hed

その3。

大阪支店長との最初の面談を終えた後、リフォーム事業
から撤退せざるをえないことをおぼろげながらに感じた僕
だったが、まったく慌てることはなかった。

それは、昨日も書いた通り、通信販売で絶対に成功できる
という確信めいた自信があったからだ。

というのもその昔、「竹藪2億円事件」なる世間を揺るが
した騒動があったのだが、その事件がこの頃の僕の持て
る限りの知識とシンクロしていたのである。

どういうことかというと…、

時は1989年4月のある日の出来事だった。当時39歳の焼
き鳥店店主が神奈川県川崎市高津区の竹藪で1億4500万
円の入ったバッグを発見。

さらに、その翌日には21才の青年が「2匹目のどじょうを
…」と、同竹藪を他のライバルがいる中探索したところ、
なんと本当に前日に続いて9000万円を発見したのだった。

そして、このお金の持ち主が当時、あらゆる少年雑誌で肉
体鍛錬の器具を広告掲載していた、青少年なら知らない人
はいないほど有名だった「日●会」の総帥であるN社長だっ
たのである。

この騒ぎの直後、「あれは私のお金です。返してください」
とN社長自らが報道陣の前に名乗り出て記者会見まで開い
たため、事の顛末が顕となった。

とどのつまりは、会社に査察が入るというので脱税のため
に慌てて竹藪に2億3千万円を置き去りにしたのである。

僕は社長の記者会見を見たのだが、「穴を掘って隠すなら
納得出来るけど、置き去りにするって、よっぽどこの社長
は儲けていたんだろうな」と思った事を今でも良く覚えて
いる。

そして、リフォームで独立した頃に、このN社長の「日●会」
は実は表の顔で、N社長は裏でも多数の通販会社を運営し
ているという事実を知ったのだった。

しかも、その複数からなる通販会社の商品群は、どれも怪
しい品物ばかりで、あらゆる雑誌に広告掲載されていた。

一例をあげると…、

・たった数週間で数十㎝背が伸びるマニュアル
・僅か数週間で十数㎏痩せられるマニュアル
・相手の脳に働きかけて思い通りに操るマニュアル

・包茎を直すパンツ
・超能力開発講座
・持ってるだけで恋人の出来るペンダント

etc・・・。

と、まぁ、どれもすべて全く効果のないインチキな商品ば
かりである。

しかし、N社長が裏でこういったインチキ商品を販売してい
る事と竹藪に2億円を放置した事実が重なった時、世間には
びこるインチキ商品の謎が僕の中ですべて解けたのだった。

つまり、少々乱暴な言い方だが、「粗悪なものであっても通
販事業は広告を打ちさえすればビジネスとして成立する」と
いうことを発見するに至ったのだった。

そして、その読みには間違いがなかった。

例えば、当時至る雑誌で広告展開されていた商品にマユツ
バものの代表とも言える、競馬の必勝法と銘打った「グリ
ーンブック」があった。

これは一部が3万5千円もする高額商品だ。

この「グリーンブック」は、一流誌から3流誌まで含めて、
あらゆる雑誌に、なんと3ページに渡り広告掲載されていた。

実際に数えたことはないので、ハッキリとしたことは言えな
いが、僕の知る限りでも当時、7~8の週刊誌には掲載され
ていたので、おそらく20近い雑誌に広告掲載されていたので
はないだろうか。

で、ここで広告料の計算となるわけだが…、

このグリーンブックは表表紙、裏表紙それぞれの裏面には一
切広告掲載しておらず、もちろんカラー刷りなどもされては
いなかった。

広告が「観音」と呼ばれる3ページものであるという理由が
真っ先にあげられるだろうが、カラー刷りはやはり高くつく
というのも理由の一つだろうと思われる。

雑誌の広告料も、もちろんピンキリだが、一流誌を例にあげ
ると黒の単色1ページでなんど80万円~100万円もするの
である。

二流誌なら50~60万円
三流誌でも20~30万円はする。

知って驚きの世界だった。

「こんなもの誰が買うんだ?!」と思っていた「グリーンブック」
の広告料が、安い掲載誌でも1ページで20~30万円するなん
て。

しかも1誌ではなく、あらゆる雑誌で全く同じ広告を見てい
たのだから。

おまけに、その広告はたった1週間の命である週刊誌に掲載
されているのだ。

さらに驚くべきことは、毎週同じ雑誌に掲載されているとい
う事実。

そう考えると、この「グリーンブック」の広告掲載料は、ど
んなに安く見積もっても…、

7誌×30万円×3ページ×4週=2520万円

という驚くべき金額が弾き出されることになる。

何という事実だろうか!
この広告代を回収して更に利益を発生させているのだ。

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【上は週刊大衆に掲載されたもので広告費は180万円!】

僅かばかりの利益で、この商売を手掛けているのではないこ
とは、1カ月の広告料が如実に物語っている。

だから、N社長の事件とその裏の事業の真実を知った時に、こ
こに記した広告の秘密に気付いたわけなのだ。

ちなみに一番料金の高い表紙の裏のカラー刷りは次のとおり。

・週刊少年ジャンプ    350万円
・女性自身        315万円
・FRIDAY       300万円

さらにダメを押せば、上記の雑誌の単色1ページ広告はいず
れも、120万円~180万円くらいしている。

僕はこの事実を知ってからというもの、国内全ての雑誌と新
聞の掲載料を調査し、あらゆる広告をストックして商材の研
究を実施した。

その結果、この世界の真実を知れば知るほど、通販事業に対
する成功は益々揺るぎないものとなったのである。

「商材さえあれば・・・」

そして、その思いはほどなく、まるで天に通じるかのように
現実となる。

…続く。

今日もお読み頂き、ありがとうございました。

 

運気を失ったプロセス その2

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昨日の続きです。

大阪支店から最後通告となる呼び出しを受け、面談に
行ったその場に知り合いがいました。

それは、東京本店でリフォームを一手に引き受けている
息のかかった会社で社長の片腕ともいえるHという男で
した。

なぜ、この男が同席しているのか?

後でわかることになるのですが、東京の会社に勤めるこ
の男が前々からどうして大阪支店の中をしょっちゅうウロ
ついていたのか。

何でも話によるとこのH、新たに独立したらしく、大阪支店
から僕らが請け負っていた仕事を、今後はこいつが一手
に引き受けるという段取りになっていたわけです。

で、その男からこう言われました。
「取り分減ることになるけど、ウチの下でそのまま仕事を
継続しろよ」と。

独立したばかりで、仕事の出来る人材もなく、また、都合
のよい下請け業者もない。

仕事をよその業者に発注するとなると、それなりの賃金を
支払わないといけない。

で、僕を利用しようと支店長とつるんだわけです。

Hが絡んでくるとは思いも寄らなかったけれど、遅かれ早か
れいずれこうなることは分かっていた。

だから、使っていた連中には「心づもりをしておくように」と
言い続けていました。

なので、この男からの誘いがあった瞬間に、即お断りを
しました。何しろいけ好かない奴でしたからね。

それに取り分が半分以下だなんて、経費や材料代のこと
を考えると自分一人やっていくのが精一杯というのも断る
大きな理由の一つでした。

しかし、何といってもこの頃の僕はもう既に次のことを考え
ていて、「いずれは通販事業にチャレンジしよう!」と本気
で考えていたのでした。

しかも必ず成功できるという確信があったのです。

…夜もふけてきたので、今日はここまで。
続きは明日です。

今日もお付き合いくださいましてありがとうございます。

運気を失ったプロセス その1

hed

では本日より、いよいよ本題に入って行こうと思い
ます。少々長くなりますが、お付き合いよろしくお願
いします。

僕は昔、自分で独立して生計を立てていました。

名前は伏せますが、TVで頻繁にCMを流している某
大手企業から仕事をもらっていたのです。

職種はといえば、リフォームだったのですが、僕自身
は当時リフォームとは全然無縁の営業職に就いてい
ました。

が、縁あって独立の話が持ち上がったため、不安を覚
えつつも「人生最大のチャンス」と感じ、何とかこのチャ
ンスをものにしようと、ズブのド素人が見様見真似で全
く畑違いの仕事を手掛け始めたわけです。

で、結果はというと…、
もちろん大成功でした。だって、上場している一流企業
から仕事を与えてもらっていたわけですから。

あまり書くと自慢話になってしまうので、詳しいことは伏
せますが、とにかく、そのような企業に面倒をみてもらっ
っていたおかげで、最盛期には人を4人使うまでになりま
した。

しかし、良いことは長く続くわけではなく、数年後に僕の
お世話になっていた大阪支店の支店長が移転となり、代
わって入れ替わりとなった新支店長との間で面談が行わ
れました。

そこで次のような言葉を突き付けられたのです。

「このままウチと取引したいなら、当社の物件を買え!」

いわゆる不動産ですね。
バラしてしまうとマンション経営ってやつです。

で、突き付けられた要求を詳しく聞いてみると、一番安い
物件でも1億4千万円だという。

とてもそんなもの買えるわけがない。
第一、ローンだって組めないでしょう。

しかし、そこは会社の融資で何とかなると言う。

というのも、その会社は賃貸用の物件を売るのが仕事で、
実際に多くの資産家や成功者などが顧客として存在して
いたんです。

だから、あとは「イエスかノーかの返事をしろ」と迫ってきた
のです。

とは言え、とても即決できる話ではないですよね?
2~3千万位の戸建を買うのとは訳が違う。しかも経営に
失敗したらどうなるのか?

実はその辺についても、実においしい話が用意されている
んです。実際、そのシステムで多くの芸能人がその会社の
物件を所有してましたから。

しかし、だからと言って、「はい、そうですか」とは言えない。
こっちは芸能人でもなければ、資産家でもなんでもないわけ
ですから。

なので、その日はやんわりとお断りしたんですが、それで
済むはずはありません。だって、僕は目を付けられてしまっ
ているんですよ。

仕事を保障して物件を購入させるのが、その支店長の最大
の狙いだったわけです。
おそらく過去もそうやって成績を上げてきたんでしょう。

で、そうこうしている内に、やはり最後通告を出される日が
訪れました。

・・・と、ずいぶん長くなりましたね。

すいません。
まだまだ続きがあるので、今日はここまでということで…。

続きは明日書きますので、もし、よろしければ明日もお越し
くださいませ。

今日はお付き合い頂きまして、ありがとうございました。