その4
通信販売で成功する自信は絶対的なものだった。
というのは、昨日書いたグリーンブックの他にも、
「こんなもので商売が成立するのか?」という商
品を自分が通販業に取り組もうと考える以前から
散々見てきたからだ。
例えば、
1.探偵業開業マニュアル
2.男女交際ビジネス開業マニュアル
3.月収500万続出アメリカンドリームビジネス
など・・・。
これらはどれも1万5千円位で、やはりグリーン
ブックと同じく何年にも渡って数誌の広告掲載が
継続されていた商品だった。
内容が内容だっただけに、一流誌でこれらの広告
を見かけた記憶はない。
しかし、特に2の「男女交際ビジネス開業マニュ
アル」に至っては2流、3流の週刊誌、青年誌、
エログロ雑誌とあらゆる媒体で目にする商品だっ
た。
広告掲載の量から考えて、このマニュアルの販売
はかなりの利益を生んだものと思われる。
何しろキャッチコピーは、「女性もお金も思いのま
ま」と言う、男性の欲望と本能に限りなく訴える広
告文が添えられていたのだ。
商品の中身はというと、男女交際クラブの運営方法が
したためられたものである。
つまり、自分で男女交際ビジネスを運営し、会費を取っ
て儲けた上で、会員応募してきた女性顧客に好きなだ
けアプローチせよとの指南書なのである。
素人にはとても実現出来そうもない話である。
が、資料やノウハウはかなり本格的で実際に実践して
いた人物、或は、関係者でしか作成しようのない内容と
なっていた。
これらの商品は製本などされず、いずれもがA用紙に
ワープロ打ちされた文書にパンチで穴を開け、単に紙
製のバインダーで閉じただけのお粗末な代物だった。
そう、まるで今のインターネットで売られている情報
商材を先取りするかのような商品形態だったのだ。
しかも、このような中身を買ってみないとどんなものな
のか得体も知れない商品が1万5千円という高額な価
格で堂々と売られ、しかも十分に利益を発生させてい
たのだ。
通販ビジネスに目覚める前は、これらの広告を見ても、
「こんなもの売れるわけがないだろう」と思っていた。
だが、竹藪事件のお蔭で僕の人生観や物を見る目は
180度違うものとなってしまっていた。
当時、自分の友人、知人にこれらの商品についての意
見を意識調査の意味も兼ねて訪ねまわったが、唯の一
人も僕のような見識を持った者はおらず、皆一様に「こ
んな物売れるはずがない」と口を揃え断言していた。
しかし、事実はそうではない。今まで書いてきたとおり、
広告掲載料金のことを考えると、儲け続けることが出来
ないとその広告は雑誌媒体から姿を消す。
つまり、存続していると判断できるものについては、
間違いなく大小の差はあるにせよ、人1人が十分潤う
だけの利潤が発生していると見てとれる。
そのビジネスの成否は、雑誌からその姿を消した時に
のみ知ることができるのだ。
ここまで書けば、「呪いのわら人形」が未だに広告か
ら姿を消していないことが、何故なのかが分かっても
らえることだろう。
続く…。